一、残光
それでも少年が廃墟に通い詰めるのは、それが自分に課した存在理由だからだ。
廃墟からほど近いところに少年が生活の拠点としているオアシスがある。
そこで暮らす人々は、それぞれが何かしらの仕事をし、衣食をまかなっている。今は何においてもあまり裕福とは言えないから、子供といえども労働力として動かなければならない。それでもできる事は限られているが。
ただ、オアシスにはたった一つだけ掟がある。
『働かざる者食うべからず』
生きるという事。
助け合うという事。
そうしなければ周りが苦労をする。
なにより少年は、もう何も失いたくなかった。
両親と姉は死んだ。家も失った。唯一の肉親である祖母は、自分のせいで左腕を失った。
そうして生き延び、辿り着いたオアシスで生活を送ることにおいて、今までと同じままでは何も変わらない。無力でいてはならない。
幸い、ジャンク品はオアシスを防衛するために必要となる。多くあって困る事はない。間接的ではあるが、少年がジャンク品を集めるということはオアシスを守ることにもなるのだ。
だから、いくら自分が傷だらけになったとしても、苦しい思いをしたとしても、これだけは貫き通さなくてはならない。
守る。
それが、少年が自分に課した存在意義。
ちかり、と星が流れた。
少年は慌てて身体を起こして祈る。願わくば、明日も何事もない事を。
しかし何かおかしい。