三 日・沈む

 海の賊、遭難、嵐。北の国へ向かうには、少々どころかかなり障害が多い。生きるか死ぬかの覚悟すら問われる旅だ。軽々しく目指す場所ではない。

 ──のだが、シルヴィは唇をつりあげて不敵に微笑んだ。

「たやすい進み方など、人の世には存在しないよ。天使」

 そして〈悪使い〉は歩む。新たなる地へ向かって。