Code2:HIMINGLAEVA
奥には、どうやって運び込まれたのか、扉より幅広なデスクが。その向こう側にある黒革張りの椅子に、白髪と深い青の瞳を持つ壮年の男が腰かけている。
肩の高さでひとくくりにした髪や、ゆったりとした座り方などを見るに、軍人というよりも学者に近い印象を受ける。入室を促す言葉にも、将官特有の堅苦しさは全くなかった。
軍人らしからぬ軍人。しかしその眼光だけは、相手の一挙手一投足を見逃さない戦うものの目をしている。だからこそ、学者然とした容姿であっても軍服を着ていることに違和感がないのかもしれない。
クレイグ・アークライト。
『波の乙女計画』によって自軍に救いをもたらしたが、それでもヒミングレーヴァに乗り込んで最前線に立ち続ける男。
「テストフライト直後になって申し訳ない。時間的なゆとりを持たせようとしたんだが──どうやらハプニングがあったらしくてね」
深い青の瞳が目を細める。ブラッドは思わず顎を引いた。
口調にそぐわない鋭い視線は、たとえ本人に威圧の意志がなくとも他人をひるませる。
「被弾回数は?」
「ゼロです。……コード・マジック発動時にエラーが発生しなかったので」
「素晴らしい」
ブラッドからどんな返答がくるのか予測していたかのような、中身のない称賛だった。
どう返すものか迷ったブラッドは、クレイグから視線を反らして、ようやく部屋にもう一人軍人がいることに気がついた。