フェアリーテイルカンパニー
先程から、緊迫した状態が続いている。
地下の方で、怒声と断末魔が聞こえたと思った数十分後、こいつらが来た。こっちから関わらないようにしていたのに、こいつらから関わってきた。
「いやーですからね、ちょっとの間、この部屋貸せよ!?」
目の前の奴は、手元の拳銃をクルクル回し拳銃の存在をアピールしてくる。言わゆる脅しだ。
「勘弁してくださいよー、御宅で何があったかは知りませんが他の会社の方に社長室は貸せませんって」
「大丈夫、大丈夫ほらなるべく綺麗にして返すから」
何が大丈夫なんだろうか。
地下の自称なんでも屋集団はこの理不尽野郎を筆頭に幼女が多い。
幼女以外は今のところ、目付きの悪い青年とダンディな声のネコしか見たことない。
一階のマスターの話だと、このお姫様みたいな格好をした幼女が社長らしい。
「なんで、ここなんですか、雑居ビルなんですから空いているとこもあるでしょ?」
「だって、一番上がいいんだもん、ここしかないじゃん」
少し言い合っては、拳銃をくるりと回す。先程からこのやりとりの繰り返しだ。
「しゃ――ーーちょ――――うーー」
外から男性の大きな声が聞こえる。
幼女は立ち上がり窓へ近づく
「あっ北田だ」
窓を開けると、なにやらジェスチャーを始めた。
「あー社員が呼んでるんでまた来ますね?」
もう来なくていい、見送ってやろうと腰をあげる。
「じゃ、また数分後に」
幼女はそう言うと五階の窓から飛び降りる。
急いで窓に近寄る、地上を見ると幼女が元気に手を振っていた。