プロローグA
御堂 つばさがログインしました_
初回起動によるロジックの異常は検出されませんでしたので、アバタ―の構築に動作を移行します_
新しいプレイヤーさん?
これはこれは、ようこそいらっしゃいました。そして、それはそれはお気の毒に。
私はシャルル。
あなたのような迷える人々を導く存在。
最近多いわ。今日なんてあなたで三人目……ロランはそんなにも事を急いでいるのかな…………まあ、『角笛』が失われたというのは確かに一大事ではあるのだけれど……いえ、こちらの話よ。気にしないで。
これから簡単な質問をいくつかするのだけれど、大人しく答えてすんなり終わらせる事をおすすめしておきましょう。意味なんて理解する必要はないわ。今は、ね。
ああそうだ。
あなたの背後ろには戻り道があるから帰ることは容易だし、無理をして『こちら側』に飛び込む必要なんてないんだからね。
来る者拒まず、去る者追わず。
それがここでの基礎的な法則であることを覚えておくといいわ。もし帰らないんだったらの話だけれど。
え? もし法則を無視したらどうなるのかって?
ふふ、そうね。たとえばあなたから見て右側にある木とか、車とか、それはなぜ存在しているのかな? そんなに驚いた顔をされても困るなぁ。だってそれは、そこにあって然るべき物なのだから。元々あった物なのだから。
まあ、それについても理解する必要はないわ。
だってそうでしょう? 存在証明の答え合わせなんて、底に穴の開いたバケツでお風呂のお湯をかきだそうとしているようなものだもの。
無意味。不毛ね。馬鹿馬鹿しいの一言に尽きる。
そういえばあなた、ここに来るまでのいきさつを聞いていなかったね。
普通はロランが動いてどうこうしているわけなのだけれど……なんというか、おかしいわね。あなたからは彼女の匂いがしないわ。ともすれば自分から迷い込んで来てしまったような…………一言で言い表すなら『番外』ね。
『角笛』どころか『聖岩』まで行方知れずになってしまっているから、この際、十二宮だろうがそうでなかろうが吟味なんて関係ないか。
何にせよ、どういった経緯であなたがここに辿り着いたのかということについては、ここの法則で対処させてもらいましょう。
……うん。大方、意識のロードは終わったみたいね。
ふふ、ここでの質問が、あなたの知っている質問の定義と同じとは限らない。
少なくとも、これまでの会話で最低限必要なパーソナリティは揃ったから、反映に問題はないと思う。まあ、何か不具合があったら言ってちょうだい。
私はシャルル。
あなたのような迷える人々を導く存在。
おやおや残念ながら構築の時間は終わりのようね。ここで一旦お別れ。でもまた会える。
だから、
これはこれはようこそいらっしゃいました。そして、それはそれはお気の毒に。
ここは仮想大都市・神代市(くましろし)。
──デス・ペナルティにご注意を。