レプラホーン
作業台と椅子が、置いてあるだけの一室にプピプピという人を小馬鹿にしたような音がなっている。音の出どころは俺が装備している皮の靴だ。
見た目はいたって普通の皮の靴なんだが歩くたびにプピプピとなる、子供用サンダルなのでよく見かける笛サンダルとなっている。
「こんなんじゃ、ダンジョンなんていけねーよ!!」
「ふぁんしーなのに」
「ふぁんしーー」
装備を外して床に叩きつけると机の上に乗っている小さな妖精、ピクシー共に文句を言われた。
「ほら、もう一回」
素材を机の上に置くと、ピクシー達も作業に取りかかる。
このゲームには、スキルがある。俺はこのゲームであるスキルを常に使用している。『レプラホーン』生産系のスキルで、装備品を造る時にピクシーを召喚し、質の良いのを作り上げる、ただそれだけのスキルだ。それだけのスキルの筈なんだ。
「できたー」
「できたー」
「俺が頼んだのって、皮の靴だよね? なんでコン○ースみたいになってんの!?」
このスキルで俺はまともに造り上げたことはない。
「赤と白のこんとらすとがおしゃれー」
「おしゃれーー」
召喚するピクシー共は言うことを聞いちゃくれない。
「もう一回、素材を渡すからちゃんと作れ! 今回は売りに出さないで俺が装備するんだから」
「ムカツクー」
「ムカツクーー」
せっせと素材を運ぶ姿は可愛いのだが、喋ると生意気だ。
「画鋲入れちゃう?」
「入れちゃう?」
「入れんな!!」