レプラホーン2
古臭い木小屋に一人の男性が上機嫌で机に向かい座っている。
机にはこのゲームでは特に珍しくもない動物の皮と麻の糸が並べられている。
「むふふ、靴を作り続けついにスキルアップした俺は! とうとう、ワンランク上の装備が作れるようになりました!」
誰かに向かって言ってるわけではないただの独り言だが、この小屋にはその独り言に反応してくれる者達がいる。
「労働環境の改善をモトムー」
「モトムー」
ここの家主がスキルで呼んでいる、妖精二人だ。
来る日も来る日もゲームの規則をブチ破った靴を作り続けた妖精達だ。
「金平糖は3つまでです! 素材やら何やら買うとお金がないんだよ!」
「3つだと朝、昼、晩しか食べれなーい」
「おやつのお時間にも食べたーい」
そういいながら、針で家主の指を突っつく。
「お前らがまともに作ってくれれば、4つだろうが5つだろうがやるのにお前らこの前、皮のズボンを何に変えたかおぼえてるか?」
靴をオシャレなアイテムに変えられるなら、他の部位なら大丈夫なんじゃないかと皮のズボンの素材を渡した。
「がうちょぱんつ!」
「かいしんのでき」
流行に敏感な妖精は見事に白黒ストライプのガウチョパンツを作り上げた。
作った本人達は、思ったより上手くできたのかキャッキャッと作り上げた時の話で盛り上がる。
「せめて戦闘系向いてるデザインにしてくれよ! コンバースとガウチョパンツでダンジョンに行けねーよ!!」
このデュランダル・オンラインでは割と自由な格好で死闘が繰り広げられていることを、木小屋に引きこもりスキルしか使ってない家主は知る由も無い。