第一章 日常茶飯/街の風景②
後はNICE☆GUYの店員達が、盗人の情報を掴めば即刻動けるのだが――
その直後だった。
アキラの手に収まっていたスマートフォンが電子音を奏でた。画面にはステファニーとの表示。店員からの電話である。
アキラはすぐさま受話ボタンをタッチし、耳に押し当てた。
「はい、アキラ。うん……うん。ルートは? マップデータ送って」
相手と必要最低限、最速のやり取りをしているのであろう。口調が早い。
「うん。たぶんGPSでなんとか」
と、ここで突然マ王がアキラに向けて右手を差し出し、会話を中断させた。
戸惑いながらアキラは訪ねる。
「え? ま、マ王?」
訥言敏行。
「貸せ。俺が訊いた方が早い」
マ王の瞳には、静かな怒りが満ちていた。